寿司職人の修行は、教育体制がうまくできれば10年も必要ないのでは?

こんにちは。転職して寿司職人になったゆうさくです。

数年前、堀江貴文さんが「寿司職人が何年も修行するのはバカ」という発言をしたことが話題になりましたが、この発言について、他業種から寿司職人になった僕の立場から考えてみようと思います。

結論から申しますと、「教育体制がうまくできれば、10年の修行は必要ない!」です。

これまで、寿司学校から個人の寿司屋、企業経営の寿司屋で働いてきた僕の経験から、もう少し詳しく見ていこうと思います。

それでは行ってみましょう!

自分がどんな寿司職人になりたいか?

ここが定まらずして、修行年数は決められないかと思います。

どんな職業でも、職人のレベルってあると思うんです。

例えば、一般企業の営業サラリーマンでも、凄腕の営業マンもいれば、毎日ノルマギリギリ達成する人。

学校の教師でも、生徒指導力がある体育教師や進学実績を伸ばせる数学教師がいる一方、とりあえず与えられた授業をこなす程度の教師もいます。

野球選手も、イチローのような歴史に残る選手もいれば、毎日ポジション競争を繰り広げている選手もいます。

それぞれプロとしてお金を稼いでいるので、人のためになる行いをして対価を受け取っているということ自体は、もちろん尊いです。

そこそこでオッケー?それともハイレベル?

しかし、人それぞれ才能や能力に差があるので、すごくレベルの高い人もいれば、そこそこの人もいるのは事実。本人がそこまでのレベルを求めてないという場合もあります。

寿司職人も、同じように、「とりあえず、早く寿司を握れてお客さんに提供したい!」という人もいれば、「寿司について、経営からネタの仕込みから全てを身につけたい!」という人まで、人によって目指す職人のレベルが違うと思います。そのレベルによって、修行年数も変わるかと考えます。

寿司学校のおかげで、技術は早く教われるようになった。

近年、寿司学校ができたおかげか、僕のように他業界から転職して寿司職人を目指す人も増えてきたので、「寿司屋10年修行の法則」は崩壊しています。

今は、18歳前後で修行を初めて10年修行する人ばかりではないですからね。寿司屋の業態もいろいろありますし。

先ほどあげた、「とりあえず、早く寿司を握れてお客さんに提供したい!」くらいのレベルでいいなら、10年はもちろん必要ないです。握って提供するだけなら、寿司学校で学べます。実際、寿司学校のそれぞれの科目のテストに合格していけば、最低限のレベルまではいけます。

ですので、ここからは、後者の「寿司について、経営からネタの仕込みから全てを身につけたい!」というレベルの寿司職人になるために、10年必要なのかを考えていきます。

「三年かけ出し、五年片腕、七年旅立ち」

「現代すし学-すしの歴史とすしの今がわかる-」(大川智彦著)の中に、すし職人の修行について書かれた部分があったので、少し引用します。

すし屋の世界では昔から「三年かけ出し、五年片腕、七年(一〇年説もあり)旅立ち」ということばがある。最初の三年は、皿洗い、出前にはじまり、材料の仕込み、お茶汲み、ガリの製法、煮方、光り物の酢のつけ方、魚の開き方、巻き方などを習い、五年目にやっと、つけ台の隅で包丁を使わせてもらえるという。

(中略)以下に高級すし店での修行の大体の目安を記す。

①1〜2年=掃除、かたづけ、洗い場、出前の修行をする。

②2〜3年=①を続けながら、コハダや赤貝などの小ものの開き方を覚える。

③3〜4年=②をつづけながら、玉子・煮ものなどを作る裏方や賄い食を作る仕事を覚える。

④4〜5年=カウンター(つけ場)に立つ。出前の巻ものを巻く。穴子、白身魚の仕込みを覚える。

⑤5〜7年=カウンター(つけ場)で客とのコミュニケーションを勉強する。魚の良し悪しが判るようにする。すしの器やすしに関する教養を身につける。

⑥7〜10年=教える立場として、職人を指導する。仕入れの仕方をマスターする。経営の勉強を始める。

⑦10年〜=経営者となるか、職人の道を歩むか分かれてくる。

これら①〜⑦にあげた高級寿司店の修行の目安を参考に、それぞれ考えてみます。

①1〜2年目=掃除・かたづけ・洗い場・出前

昔は修行を始めたらこればっかりやらされたんでしょうね…。現代の感覚を持っていたら、続ける自信がないです笑。

実際、前の店の親方の話を聞くと、「1年間魚に触らせてもらえなかった。」と聞いたことがありますし、概ね間違いではないのでしょう。

何か理由があるのかもしれませんが、個人的には、「同時並行で、何か教えればいいのに」と思います。例えば、②にある赤貝、コハダとかの開き方を教えるとか。

これだけの作業に1・2年を費やすのは、無駄というか、時間がもったいないと思います。

②2〜3年目=①をつづけながら、赤貝やコハダなどの小物の開き方を覚える。

実際僕は今この段階にいますが、赤貝もコハダもある程度捌けますし(スピード・キレイさはまだまだですが)、すしダネになる大体の魚は捌けます。穴子には苦労しましたが…一応捌けます。

これは、それぞれの寿司屋の方針によると思いますが、僕の修行した個人店は、大変でしたがいろいろ仕事を振ってもらったので、今となってはできることが増えたので、ありがたかったなぁと感謝しています。あれが教育だったのかと言われると、少し疑問ではありますが…笑。

なので、最初に結論づけた「教育体制をしっかりすれば、10年の修行は必要ない」という持論も説得力を増してきます。

上の人が、うまく下を教育すれば、2〜3年目には、もっと身につけられると思います。

③3〜4年=②をつづけながら、玉子・煮ものなどを作る裏方や賄い食を作る仕事を覚える。

裏方の調理も結構早い段階でやらせてもらっていましたね。煮ものは、タコの桜煮くらいしか作りませんでしたが、焼き物・汁物・玉子はできるようになりました。

毎日調味料を使って調理していれば、賄いも目分量で大体の味の調整ができるようになりました。適当に作っても、まあまあ旨いというくらいのものはできます。笑

玉子は、だし巻きではなく厚焼きだったので、返せるようになるまで結構苦労しましたね。今でも、気温が高い夏に返すときは必死です笑。でも大体成功するようになりました。

なので、この段階も、教育体制をしっかりすれば、4年もかからないかと思います。

④4〜5年=カウンター(つけ場)に立つ。出前の巻ものを巻く。穴子、白身魚の仕込みを覚える。

カウンターに立つには、店の大体の流れを把握して、板前さんが必要としているものごとをサポートできるようにならないと立てないと考えています。

高級店で、①〜③を覚えて、④のレベルを完璧にこなすとなると、4〜5年はかかるのかなと思います。

ただ、個人的には、穴子・白身魚の仕込みは、もっと早い段階で覚えられるかと。出前の巻ものを巻くのも、上の教育がよければもう少し早い段階でできそうです。実際僕も2年目で、お子様用の出前を作らせてもらいましたので。

⑤5〜7年=カウンター(つけ場)で客とのコミュニケーションを勉強する。魚の良し悪しが判るようにする。すしの器やすしに関する教養を身につける。

この段階は僕にとっては、まだ未知の領域なのでなんとも言えませんが、ここが一番時間がかかりそうな印象があります。

お客さんとのコミュニケーションをうまくとる。寿司の味、サービス、パフォーマンス、値段などのトータルでお客さんを満足させる。これについては寿司職人にとっては一生勉強だと思います。

魚の良し悪しは5年目くらいで大体わかりそうな感じがしますし、寿司の器や寿司に関する教養も5年くらいかかりそうです。この辺は僕の個人的な感覚になってしまいますが…。器類はあまり知らないので、勉強しないとなぁ。

⑥7〜10年=教える立場として、職人を指導する。仕入れの仕方をマスターする。経営の勉強を始める。

この段階になると、修行というより「経営」の段階に入ってくるかと思います。仕入れには、2ヶ月に一回くらい仕入れについていってましたが、仕入れ業者との信頼関係ができるまでが難しそうと感じます。もちろん、目利きも鍛えないといけないんですけどね。とりあえず一通り身につけるまでに3年くらいかかると考えておきます。

⑦10年〜=経営者となるか、職人の道を歩むか分かれてくる。

10年目から先は、職人として今の勤務する店に貢献していくのか、独立して経営者になるのかを視野に入れていくということですね。

10年も働いてきたら、いろいろな人間関係があると思います。勤務する店の中心として、貢献するのも良し、自分で店を開くのも良しという感じでしょうか。完全に一人前の寿司職人ですね。

結論:1〜5年目はもっと短縮できる。

⑤、⑥、⑦あたりになると、未知の領域なのでなんとも言えない部分がありますが、1〜5年目あたりは、高級店の修行とはいえ、うまくやればもっと短縮できると思います。

そのためには、店の教育体制が整っていないと難しいかと。もしくは、どんどん仕事を振ってくれる環境なのかどうか。できないことが多いうちは大変ですが、できるようになってくると楽しいですし、自分に自信が出てくるはずです。

魚介類の仕込みや、裏の調理なども、自分の経験に照らせば、もっと早い段階で身につけられると思います。

ということで、高級店の仕事を段階別に考えてきましたが、前半①〜④までを2・3年短縮できると考えると、「寿司屋のひととおりを身につけたレベルの職人になるには、7年くらいの修行が必要」となります。

確かに10年も修行は必要ないことになりますが、ひととおり身につけるには、やっぱり7年くらいは経験が必要みたいですね。

というか、⑤以降はカウンターに立って板前になっていますので、一般的な「修行」に入れていいのかどうか疑問ですけども…。それを除外すると、3年くらいの修行で板前になることは可能だと思います。

まとめ

今回は寿司屋の修行年数について考えてきました。

今回のポイントとしては、

・目指す職人のレベルによって、修行年数は変わる。

・「とりあえず、カウンターで握りたい!」というレベルなら、寿司学校で習得できる。

・教育体制が整っていれば、高級寿司店でも3年くらいの修行でカウンターに立つことは可能。仕入れや経営まで身につけるには、やはり7年くらいはかかる。

という結論に至りました。

寿司屋の業態もいろいろありますし、寿司職人も従来と違っていろいろなニーズに応える必要が出てきています。

個人的には、どんな状況でも対応できる職人になりたいと考えていますので、日々謙虚に勉強していく姿勢が、寿司職人としては大事かなと思います。

少し長くなりましたが、今回はこれで終わります!

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